懐かしの名場面

〜担任通信ダイジェスト〜

作者のコメント

まずは１９８９年度鈴蘭台高校２２回生１年２組担任通信から　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　「サンドイッチ童話」というのは、この頃よく使った手法です。全く賑やかなハチャメチャクラスで、それに手を焼いている様子が文面から伝わってきます。元鈴高の方以外には、登場人物像はピンと来ないかも知れませんが、雰囲気だけでも味わって下さい。　　　　この頃「グリコ・森永事件」が世間をにぎわしており、そのパロディがふんだんに使われているのが何とも懐しい気がします。念のために言っておきますが、私は「キツネ目の男」ではありません。

サンドイッチ童話　桃太郎＆柿太郎

☆昔々、ある所におじいさんとおばあさんが住んでおりました。ある日、おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯にでかけました。 ★ほんの最近、ある所におトーヤンとおカーヤンが住んでいました。ある日、おトーヤンは山へ野グソしに、おカーヤンは湊川へドブさらいに出かけました。 ☆おばあさんが洗濯をしていると、川上から大きな桃がドンブラコッコ、ドンブラコ、ドンブラコッコ、ドンブラコと流れてきました。おばあさんがその桃を持って帰って切ってみると、何と玉のようにかわいい男の赤ちゃんが入っているではありませんか。おじいさんとおばあさんは、その男の子を天からのさずかり物と思い、「桃太郎」と名前をつけて、とても大事に育てました。 ★おカーヤンが、１０円玉でも落ちていないかと、必死になってドブさらいをしていると、川上から、ドンブラコッコ、ドンブラコ、ドンブラコッコ、ドンブラコと汚い腐った柿が流れてきました。おカーヤンはこれでおトーヤンの晩メシのおかずができたと、その腐った柿を持って帰って切ってみると、中には世にもみにくいいじけた男の赤ん坊が入っているではありませんか。しかも血液型はＯ型でありました。おカーヤンは、何とかしてその子をどこかにやってしまおうとしましたが、全然もらい手がつかず、仕方なしに、その子に「柿太郎」と名前をつけて、ほったらかしにして育てました。 ☆やがて桃太郎はすくすく成長し、とても立派な若者になりました。ある日、桃太郎はおじいさんとおばあさんにむかってこう言いました。 「はるか海の向こうには鬼ヶ島という島があって、たくさんの悪い鬼が人々を苦しめていると聞きます。私は、是非ともその鬼どもを退治しに出かけたいと思います。」 おじいさんとおばあさんは一度は止めましたが、桃太郎の決意が固いのを知り、立派な服や刀を用意して、日本一のキビだんごをこしらえて持たしてやりました。桃太郎は勇んで出発しました。 ★やがて柿太郎はどんどんひねくれて成長し、近所のつまはじき者になりました。ある日、柿太郎はおトーヤンとおカーヤンにむかってこう言いました。 「あの菊水山のはるか上には、鬼蘭台高校という、悪い鬼教師がたくさん集まっとる学校があるねんてや、ワシはあそこへ行って鬼教師どもをいてこましたろと思とるんや。行かしたってんか。」おトーヤンとおカーヤンは、やれやれこれでやっかいばらいができると喜び、柿太郎に学生服を着せて、毒入りの森永パックンチョを持たしてやりました。桃太郎は入学試験に合格し、鬼蘭台高校に入学することになりました。 ☆桃太郎が鬼ヶ島への旅を続けていると、犬がやって来てこう言いました。 「ワンワン、桃太郎さん、お腰に下げたそのキビだんごを私に下さい。」 桃太郎は答えました。 「私の家来になるのならあげましょう。」 こうして犬は桃太郎の家来になりました。 ★柿太郎が西鬼蘭台駅で神鉄のボロ電に乗ると、栄方面から乗ってきた変態ＡＢ型の山犬がやって来てこう言いました。 「オーオー、その菓子ワシにもくれや。」 柿太郎は言いました。 「どく入りの菓子、ちょっとにがいけど、うまいでー」 こうして山犬は柿太郎の仲間になりました。 ☆桃太郎がまたしばらく行くと、猿がやって来ました。 「キーキー、桃太郎さん、そのキビだんごをひとつ下さい。」 「私の家来になるのならあげましょう。」 こうして猿も桃太郎の家来になりました。 ★柿太郎が鬼蘭台駅で降りてしばらく行くと、わがままＢ型で、ズーズー弁のイモ猿がやって来ました。 「オーオー、その菓子わいにもくれや。」 「青酸なとりうむ、まだよーけある、この通りや」 そしてイモ猿も柿太郎の仲間になりました。 ☆桃太郎がさらに行くと、キジがやって来ました。 「バタバタ、桃太郎さん、そのキビだんご私にも下さい。」 「家来になるならあげましょう。」 こうしてキジもまた桃太郎の家来になりました。 ★柿太郎がまたしばらく行くと、ひねくれＡ型のコウモリが飛んできました。 「オーオー、その菓子オレにもよこせ。」 「こんどは丸大はむの番やでー」 そしてコウモリも柿太郎の仲間になりました。 ☆桃太郎と三匹の家来は鬼ヶ島に着きました。すると、さっそく赤鬼がおどりかかってきました。桃太郎は苦戦しましたが、犬がかみついて助けてくれたので、やっつけることができました。 ★柿太郎と三匹の仲間は、鬼蘭台高校に着きました。まず手始めに、国語の鬼本魔女子先生と対決しましたが、「キャハハハハハ」と一笑のもとに笑いとばされました。 ☆桃太郎と三匹に、今度は青鬼がおそいかかってきました。今度も桃太郎は苦戦をしましたが、猿がひっかいて助けてくれたので、やっつけることができました。 ★柿太郎と三匹は、今度は社会の青鬼シケオ先生にはむかいましたが、 「おっ、お前ら、なかなか元気で見込みある。今度鬼高ホーカス新聞にのせたる。」 とおだてられて軽くいなされました。 ☆桃太郎と三匹の次の相手は白鬼でした。また大苦戦になりましたが、キジが目をつついて助けてくれたので、またもやっつけることができました。 ★柿太郎と三匹は、こらクラスの中ではらちあかん、他のクラスへなぐりこんでやろうと廊下へ飛び出しました。するとそこへやって来たのが、英語の鬼島先生でした。柿太郎と三匹は、たちまち廊下に正座させられ、 「お前ら、本日の日直のくせして何じゃい。アホ、ボケ、クズ！」 とノートで頭をビシャビシャにしばきまくられ、ケチョンケチョンにやられてしまいました。 ☆桃太郎と三匹の最後の相手は、最大の強敵、黒鬼でした。しかし、彼らは一致団結して立ち向かったので、さしもの黒鬼もついに降参し、鬼ヶ島退治は見事に成功をおさめました。 ★柿太郎と三匹は、鬼教師が相手ではとてもかなわん、苦しいときの仏頼みで、ほっとけのキノリン先生の所へ助けを求めに行きましたが、キノリン先生は、 「何度も言いますが、僕は徳島生まれで、自分の子供育てるのに精一杯で、あんたらのめんどう見切れん。」 と完璧に冷たくほり出されました。 ☆桃太郎は、鬼たちからぶんどった宝物を持って帰り、おじいさんとおばあさんに孝行をして、末永く幸せに暮らしましたとさ、めでたし、めでたし。 ★とうとうしまいには担任の鬼木ベム男にも見放された柿太郎と三匹は・・・ （この悲惨な結末はとても筆者には書けません。各自で書き加えて下さい。） なお、この話はフィクションであり、実在のモデルはありません。くれぐれも念のため。

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