| 【MyFavoriteMusicianⅡ】 |
| （30)とにかくカッコいい布施明 |
| まだカラオケの草創期。 歌える歌はそれほど多くなかった。 カセットとして販売されている曲自体が少ない上に、その大半は演歌。 ある年齢が来れば、みんな演歌に傾くという「常識」に敢えて逆らうため、意地でも演歌は歌わない。 その中で、貴重なレパートリーが布施明のナンバーである。 ジャンルとしては「歌謡曲」だろうが、彼が歌うと、そんなジャンル分けなどものともせず、洋楽・邦楽の枠をもぶち壊してしまう。実際、洋楽のカバー曲も多い。 1947年、東京生まれ。まさに団塊の世代である。 デビューは1965年だから、僕が10才の時。 いつ頃彼を意識し始めたのかは定かでないが、「青春とは何だ」の主題歌は何となく憶えているから、それが最初だったのだろう。その後も、青春ドラマの主題歌は彼の得意ジャンルとなる。 デビュー２年目に「霧の摩周湖」をリリース。今あらためて聴いてみると、ブルーコメッツの「ブルーシャトー」に曲想がよく似ているなあ、と感じるが、実は「ブルーシャトー」が出たのはこの翌年である。。もちろん、今でも広く歌われる不朽の名曲だ。ちなみに僕が実際に摩周湖に立ち寄ったときも霧で湖面は見えなかった。（笑） 歌唱力では右に出る者がいないくらいの彼だったが、その後しばらくヒット曲には恵まれなかった。僕の記憶にあるのも1970年の「愛の不死鳥」くらいだろうか。 だが、1974年の「積木の部屋」に続いて1975年に小椋佳に提供された「シクラメンのかほり」が爆発的な大ヒット。レコード大賞も取ったようだが、不思議にその記憶は抜けている。 この「シクラメンのかほり」、一体カラオケで何回歌ったろうか。まさに当時の「十八番」。 十八番も十八番、いの十八番である。（笑） 何で十八番かというと、当時のキー調節のできないカラオケの中、「音域がぴったり」だったからだ。 ♪ 真綿色したシクラメンほど清しいものはない 出逢いの時の君のようです （中略） シクラメンのかほり むなしく揺れて 季節が知らん顔して 過ぎてゆきました （後略） そんな恋愛に憧れたものだが、まさに歌通り、最後は破局した。（涙） とにかく彼は男の私から見ても「カッコいい」。 そのバタ臭い風貌もさることながら、立ち居振る舞いすべてが洗練されている。 1980年、アメリカの人気女優だったオリビア・ハッセーと結婚。その後アメリカでもミュージカル等で活躍するが、離婚。こんな華麗な遍歴をもつ日本人ってそうそういない。なお、現在の妻は森川由加里だそうである。 2008年にリリースした「君は薔薇より美しい」も鮮明に記憶に残る。 ♪ 息をきらし胸をおさえて 久しぶりねと君が笑う （中略） 歩くほどに踊るほどに ふざけながら じらしながら 薔薇より美しい ああ 君は変わった （後略） そして、彼の引き際も見事だった。 2009年の「マイ・ウェイ」を最後に、紅白歌合戦の引退を発表。まだ62才。 そして、僕の現職リタイアも62才だった。別に真似した訳じゃないが・・・ 彼のようにカッコよくとはいかないが、「まだやれる」余力を残して辞めるのも男の美学であるとは思う。 もちろん、彼はまだ現役で活動中。 僕もそれにあやかって・・・ |
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