| 【MyFavoriteMusicianⅡ】 |
| （24)木山裕策 羨ましい声 |
| 小学校時代、クラブ活動は、半強制的に「音楽部」であった。自分がやりたかった「陶芸」をすることはかなわなかった。ただ父親の命令だった「体操部」に入らなくて済んだので、まあしょうがないかと思っていた。（器械体操は今も昔も大の苦手だ）何で音楽部だったかと言うと、当時の田舎の小学校には、「音程通り」歌える児童は数えるほどしかいなかったからだ。「垂水区小学校連合音楽会」というのがあり、それに学校代表を送るための人集めに駆り出されたわけである。 成人してからも「合唱団に入らないか？」と何度か誘われたことがある。でも、歌うことは好きだが合唱は苦手で、すべて断り続けている。実は、他のパートにつられてしまう癖があり、旋律以外は歌えない。 隔日のカラオケ練習を何年も続ける中で、随分声が出るようになった。高い方は間違いなく半音～一音くらい上が出るようになった。これは若い頃以上かも知れない。継続は力なりだ。 だが、そんな私にも持って生まれた声質というものがあり、そればかりは変えることができない。 自分では美声で歌っているつもりでも、録音したものを聴いてみると、ゾッとするくらい嫌な声だ。頭蓋骨を通過した音とそうでないものは全くの別物らしい。 「羨ましい声質」すなわち、こんな声が出たらなあ、という歌手が３名いる。一人は小田和正であり、次に若い頃のさだまさしであり、もう一人が今回取り上げる木山裕策である。 「兼業歌手」なのは知っていたが、その詳しい経歴は今回調べてみて初めて知った。 いやまさに波瀾万丈、平穏無事に生きてきたイメージを根本から覆された。 大阪府立大手前高校から大阪外国語大学スペイン語学科卒。関西人というのも意外だったが、同じ大学のフランス語学科に願書だけ出したことのある私としては親近感を感じてしまう。 大学時代にはバンドを組み、ボーカルを担当、ビリージョエルを主にカバーしていたらしいが、プロになるのは断念する。彼のアルバムにはビリーの曲がカバーされており、その発音の流暢さは、外大出身ならでは、と納得させられる。 歌手の次はシナリオライターを目指したようだが、それも挫折して会社員となる。 会社員時代、歌手活動は週末のみ行うウィークエンドシンガーだった。会社が副業を許可していたのかどうかは定かではないが、もしＯＫだったのだとしたら、当時としては画期的だ。 ３５才の頃に大病を患う。甲状腺腫瘍。全摘手術を受けたが、このとき「声を失う」可能性があったのを乗り越え、ＣＤデビューを考えるようになる。 日テレの歌オーディション番組に出たのが３９才頃だから、遅咲きも遅咲き。ただし、このオーディションは最終ステージで落選、だが、某プロデューサーの目にとまりデビューが決まる。 ４０才、「home」でシングルデビュー。いきなりその年の紅白歌合戦に出場と、男シンデレラ。紅白見ない主義の私は未だ全然知らなかった。 私がこの歌手を初めて視たのは、黒人歌手のクリス・ハートがこの「home」を歌ったときに、「ご本人登場」となったときだった。 イケメンかどうかというと？？だが、その歌声はさすがだった。爽やかで清潔感があり、憂いと伸びがすばらしい。 好きな曲、と言われても、この人が歌う曲はみんなすばらしくなってしまう感があり、オリジナルよりカバーで勝負する人かも知れない。 デビュー曲の「home」を掲げておく。なお、作詞作曲は彼を見出した多胡邦夫である。 ♪ 晴れ渡る公園で不意に僕の手を握り返した その小さな手で僕の身の丈を一瞬で包んでしまう 君がくれた溢れるほどの幸せと真っ直ぐな愛を 与えられてるこの時間の中でどれだけ返せるだろう 帰ろうか もう帰ろうよ 茜色に染まる道を 手を繋いで帰ろうか 世界に一つだけ my sweet home （以下略） もちろん彼女ではなく、可愛い子供との心の交流を描いている。家族を大事にする彼の姿勢を体現した歌であると言えよう。 ちなみに彼には４人の男の子がいる。 2019年からは会社を辞め歌手に専念してるようだ。 2021年からは由紀さおり、安田祥子とコラボし、コンサート活動も行っているようだ。 是非一度行ってみたい！ （次は誰か？お楽しみに） |
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