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(27)幻の美少女、小松未歩
 私の世代では、知名度は低いと言ってさしつかえない。
 私の教え子世代では、まず知らない人はいないだろう。
 だが、彼女をナマ、もしくは動画レベルでも視たことのある人はほとんどいないのではないだろうか。
 今の若者なら、小松菜奈と間違えること必至である。なぜなら2009年以降、彼女の消息はぷっつりと途絶えてしまったからだ。
 彼女のデビュー曲は「謎」だが、まさにそのタイトルのように彼女自身の存在も謎に包まれてしまった。
 
 この世であなたの愛を
 手に入れるもの
 踊るライト見つめて
 忘れない
 ahh 謎がとけてゆく

 君はまだ 疑うことなく
 友達と呼べた日々 過ごし
 今もずっと
 涙あふれ 止まらなくて
 失うことだけを
 教えてゆくつもり
 
 (後略)

 この曲、ご存知「名探偵コナン」のオープニング曲として採用された。これが実質作曲・作詞家としてのデビューで、以降、名探偵コナンは彼女の最もメジャーの活躍の場となった。翌年にはエンディングテーマ「願い事一つだけ」がリリースされている。
 その後も「チャンス」、「氷の上に立つように」、「手ごたえのない愛」とヒットを連発。大ヒットと言うよりも、シングルヒット連発という感じ。
 その後10年、彼女はどちらかと言えば多作だった印象。私はその初期から活躍に注目しており、アルバムも「6th」までは入手していたのだが、結局「8th」までいったようである。
 彼女の曲の特徴は、とにかく分かりやすいメロディーと歌詞。昨今の難解な曲と違い、一度聴いたら憶えてしまうくらいだ。
 そして、その才能に加え、透明感のある涼やかな歌声。これまたその魅力にはまると抜け出せない。

 ウィキによると、神戸出身だという。その実家の場所や出身校は明らかになっていないのだが、なおさら親近感を感じる情報だ。
 音楽には子供の頃から慣れ親しんでいたようだが、大手航空会社に勤務した後にオーディションで採用されたようだから、遅咲きとも言える。
 そしてその美貌。彼女はテレビはおろか、ラジオにすら出演しておらず、残っているのは僅かばかりのCDジャケット写真などに過ぎないが、なかなかの美少女である。年齢的にはその呼称は失礼かも知れないが、印象的には全くそうである。
 彼女がメディアに露出しないのは「売り出し戦略」などではなく、彼女自身の極度の「人見知り」によるものとされているが、本当にそうだったのか、これまた「謎」である。
 山口百恵やGARNET CROWに例を引くまでもなく、若いうちに引退し、「伝説」となる。これまた人生の「戦略」なのだろう。
 現在は40代半ばとなっているはずだが、神戸の街角でふと出逢っても多分気付くことはないだろう。今後のご幸福を祈りたい。

 氷の上に立つように危なげなこともしたい
 思い描いてた夢も形にしてみたい
 Forever My Destiny

 (後略)

 
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