| 【MyFavoriteMusicianⅡ】 |
| （22)Ｍｒ．Ｃｈｉｌｄｒｅｎ虚像と実像 |
| 浜甲子園団地に住んでいたのは、たしか1983年から1997年まで13年半ほどである。 Mr.Childrenの結成はその間の1989年である。 当時は流行音楽にはまだ興味がなく、歌番組などもほとんど見なかった。邦楽よりはむしろ洋楽の方をよく聴いていたかも知れない。音源はFMラジオが多かった。 1994年、「Innocent World」が爆発的にヒットし、彼らはメジャーになった。この曲、たしかに名曲だが、流行当時ほとんど聴かなかったのと、カラオケなどで歌ったこともなく、今でも「歌え」と言われても自信がない。 ただ一つだけ覚えているのは、甲子園球場で彼らのライブがあったとき、うちの家の窓にこの曲がガンガン響いてきたことである。いくら同じ甲子園と言っても、直線距離で１㎞以上も離れているのに、どんだけ大音量のアンプ使ってるんや、と思った。もっと近所に住んでいる人はさらに迷惑だったのでは。もっともファンならラッキーだけど。 だが、それでこのバンドに関心が向かうこともなく、数年が過ぎた。 2000年、すなわちミレニアムの年、私は当時勤めていた阪神養護学校高等部の卒業式に臨んでいた。卒業するのは自分の担任している学年より一つ上である。 式次第が滞りなく終わり、「卒業生、退場」の発声があった。 そのときにかかった曲がミスチルの「口笛」だった。 ♪ 頼りなく二つ並んだ 不揃いの影が 北風に揺れながら延びていく 凸凹のまま膨らんだ君への想いは この胸のほころびから顔を出した 口笛を遠く 永遠に祈るように遠く 響かせるよ 言葉より確かなものに ほら、届きそうな気がしてんだ さあ、手をつないで僕らの現在が 途切れない様に その全てで僕は生き返る 夢を摘むんで帰る畦道 立ち止まったまま そしてどんな場面も 二人なら笑えますように （後略） いろいろな学校に勤めたが、卒業式の斉唱曲、退場曲などは、卒業学年の意向で決められるのが普通である。唯一H高校だけは斉唱曲が「仰げば尊し」、退場曲は「蛍の光」に決められていた。実はあの学校、体質が超保守的である。 この「口笛」、卒業式の雰囲気にもマッチしていたし、ミスチルの曲の割にはロックロックしておらず、最高の名曲と思っている。私はまさに「一耳惚れ」してしまったわけだ。 この曲を知ったことをきっかけに、私はミスチルのＣＤを購入して聴くようになった。 Mr.Children 現在は４人組のロックバンド。スピッツが草野マサムネのワンマンであったように、ここも桜井和寿のワンマンチームである。 2004年、このミスチルがレコード大賞を受賞したというニュースがあった。だが、その曲、未だに私は聴いたことがなく、世間でも「何でこの曲が？」と疑問の声が噴出した。レコ大を全面否定するわけではないが、当然とるべき曲がとらなかったり、ヒットもしてない曲がとったり、不可思議な現象が起きるのがしばしばだ。 それまでのミスチルを「実像」とすれば、レコ大以降は「虚像」と思う。彼らにはネームバリューで仕事するのではなく、本当に親しめる曲をリリースしてほしいと願うばかりだ。 「口笛」。もちろんカラオケでも歌える準備は万端である。音程－2でお願いします！ （次号はEveryLittleThing） |
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