| 【MyFavoriteMusicianⅡ】 |
| （67)運命の人、リッチー |
| それは1990年代のある日のことだった。 私はＪＲ元町駅付近を歩いていた。 何でそんな所を歩いていたのか、今となっては記憶にない。 おそらく、県庁方面に用事があったのだろうけど。 そんなとき、駅前のレコードショップから歌声が流れてきた。 今でこそ数は減ってしまったが、当時はレコードショップは各所に存在していた。もちろん、メディアはレコードからＣＤに変わっていたが・・・ 外人男性の声だが、甘く哀愁を帯びたそのバラード曲。 私は思わず足を止め、その曲に聴き入った。 名前が知りたい、と思った。曲名も、歌手名も・・・ もしその場で分かったら、私はそのＣＤを衝動買いしていたことだろう。 だが、それは店でかけているのではなく、有線放送のＢＧＭらしかった。 一瞬のできごとだったが、私の耳にその曲は深く刻まれたのである。 月日は流れ、とは言っても一年以内だったとは思うが、私は三宮のパレックスにいた。 あの記念すべきシスコンを購入した家電量販店である。特にオーディオには力を入れている店だった。 パレックスが存在してたということは、震災（1997年）前の証拠だ。震災であのダイエー王国は跡形もなく崩壊したのだから・・・ その店で、私は奇跡的にも、また「あの曲」を聴いたのである。近くにいた店員に尋ねる。 「この曲、誰の曲か、分かります？」 「これはですね、ライオネル・リッチー・ジュニアと言って、コモドアーズのメンバーですね。」 店員はよどみなく答えてくれた。それでこそ、オーディオ担当だ。 彼について詳しく調べようにも、インターネットのあった時代じゃない。 私は早速、ＣＤを隣の星電社で買い求めた。ベストアルバムらしかった。 その５曲目が「あの曲」だった。 ♪Ｓｔｉｌｌ Lady, morning's just a moment away And I'm without you once again You laughed at me You said you never needed me I wonder if you need me now （中略） So many dreames that flew away So many words we didn't say Two people lost in a storm Where did we go where'd we go （中略） Buｔ ｔhen most of all I do love you Still そのCDの歌詞カードに書かれていた解説をそのまま引用する。 「スティル」は、「ミッドナイト・マジック」から。去って行った恋人にしみじみと訴えかけ「まだ愛している」と歌うライオネルの優しさと愛に満ちたボーカルは逸品としかいい様がありません。ラブ・ソングをこれ程、格調高く歌える人は少ないでしょう。 まさにその通り、これ以上のラブ・バラードを他には知らない。黒人独特の哀愁に満ちた声質はこの曲にぴったりである。 「コモドアーズ」と店員は言ったが、このときすでに彼はコモドアーズを脱退して10年以上経過していた。その後どんどん名声が高まって、今では「大御所」とも呼べる存在である。 他の代表曲としては、「Three Times a Lady」、ダイアナ・ロスとのデュエットである「Endless Love」がある。 アルバムの累計販売数は１億枚を超え、中でも「All Night Long」は２千万枚を記録した。 その「All Night Long」、聴いたことがなかったので、早速アマちゃんで買って聴いてみることにする。何とその値段、新品なのに1000円以下である。（８曲収録） あの街角とパレックスでたまたま耳にしたその偶然。彼は私にとってまさに「運命の人」と呼ぶにふさわしい。 （次はAimer、行ってみよう） |
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