| 【MyFavoriteMusicianⅡ】 |
| （68)奇跡の声、Aimer |
| 初めて聴いた彼女の曲は、「あなたに出会わなければ～夏雪冬花～」だった。 この「夏雪冬花」の意味はよく分からないが、最初のこの歌の印象は「恋愛弱者の嘆き節」かな、と。中島みゆきにありがちなパターンである。 でもそれだけでは終わらない余韻が鑑賞後に残った。 ♪記憶などいらない 永遠に眠りたい もう このまま朝が 来なくたっていいや いつでも夢の中では あなたは笑ってる どうして ねえ 消えないの？ （中略） あなたに出会わなければ こんなに切なくて 胸を締め付けることもなかった・・・それでも あなたに出会わなければ 強さも優しさも 知らずにいた 目を閉じれば すぐそこに あなたがいる いまでも まだ 目を閉じれば すぐそこに あなたがいる 他の曲も聴き込むうちに、その魅力の原因はすぐに判明した。 それは彼女の「声質」である。 文学者でもない小生が一言で表現するとするならば、 「透明な磨りガラス」のような・・・ ハスキーでいて、かと言って崩れていない。 別の比喩を用いるとすれば「女神様の声」である。 ある音響専門家によれば、彼女の声は「振幅ゆらぎと周波数ゆらぎが同時に発生している、非常に稀な声」なのだそうである。 実は彼女は若い頃、「歌いすぎ」による喉の酷使で声帯にダメージを負い、それと付き合いながら今日まで活動してきている。治療はできるが、完全に治癒してしまうと、トレードマークの声質は失われてしまう。かつて藤圭子が、やはり声帯の手術でハスキーボイスを失い、引退にまで追い込まれた件を思い出した。 ロック歌手がブレイクするためには、一度「喉を潰して」からでないといけないという事実がある。 桑田佳祐も矢沢永吉もその「通過儀礼」を経てきたのだろう。小田和正の様に声変わりしていない歌手の方がむしろ珍しいくらいだ。 その後彼女の人気と評価はうなぎ登りだ。 最近ではアニメ主題歌、ドラマ主題歌などに引っ張りだこで、海外でも静かに爆売れが始まっている。 YouTubeの音楽動画を視ると、欧米のYouTuberたちが、「アイマー！」「アイマー！」と絶叫しているのをよく見かける。だがなあ、大学でフランス語の単位落としまくった私が言う柄ではないが、彼女の芸名は明らかにフランス語由来であり、「エメ」とちゃんと発音してほしい。 "everlasting snow" ♪It's just arrived 今夜 奇跡は 空から舞い降りて ひとりぼっち肩で羽を休めて こう呟いた "better not cry" 誰もがみんな 足早に過ぎ去ってく 白い吐息越し見た街は どこか愛しく見えた （中略） Everlasting snow 冬の奇跡 世界を今日も白く染めて 祈りというキャンドル 誰もが胸に小さな灯りをともす あの声が「everlasting」なことを祈りつつ、これからも注視、いや注聴していきたい。 （次はStylistics） |
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