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(79)爆風スランプ
 2024年秋、山でのケガをきっかけに自転車トレーニングを始めた。
 最初は神戸市内から往復していたが、信号の多さから調子に乗れないもどかしさを感じていた。
 そこで、「輪行」を復活することに。
 愛車ホワイト君で最寄りのJR駅に向かい、折りたたんでバッグに詰める。久しぶりなので、随分もたもたしたが、何とか電車に積み、甲子園口駅へ。再び組み立てて向かったのは武庫川河川敷。ランニングではもう何百回走ったか知れないかつてのホームグラウンドだ。
 ここには立派なサイクリングロードもあり、信号も交差点もなしにロングサイクリングを楽しむことができる。この河川敷が宝塚方面とつながったのはもう10年以上前のことのように記憶するが、今回走ってみて、南方向にも延長されていることが判明した。昔は武庫川団地の入口くらいまでだったのが、鳴尾浜方面まで続いている。
 このサイクリングには、もう一つの目的があった。元同僚で仲の良かった女性の友人がこの河川敷のすぐ側にあるH特別支援学校に勤めており、彼女にちょっと声をかけてみようかと思ったのだ。もう10年近く会えていない。
 南方向で時間を食ったせいで、H特支の横に達したのは、もう学校職員の休憩時間を過ぎていた。それでも電話だけでもかけてみたが、応答がない。職員室の窓が見えるが、人影がなく、おそらく会議中?なのだろうと、その日はあきらめて帰ることにする。
 後日、連絡がとれた。何と彼女はH特支にすでにおらず、数年前に別の学校に異動したのだという。まあ、それでも旧交が復活してよかったのだけれど。
 こんな長い前振りを書いたのは他でもない。このH特支(当時は養護学校)時代、朝はトレーニングタイムになっており、確か週に2回は河川敷、3回はグラウンドを走ることになっていた。
 そのグラウンドを走るときにかかっていた曲が爆風スランプの「Runner」だった。まさにランニングにはぴったりの曲で、今でもこの曲を耳にすると、走りたくなる衝動を感じるくらいである。

 ♪ 雨を避けた ロッカールームで
   君はすこし うつむいて
   もう戻れはしない といったね

   瞳の中 風を宿した
   悲しいほど 誠実な
   君に何を言えば良かったのだろう

   (中略)

   走る 走る 俺たち
   流れる汗もそのままに
   いつかたどり着いたら
   君に打ち明けられるだろ

 この歌詞からして、引退を決意した陸上ランナーとそれを見送る同僚、といったシチュエーションが浮かぶ。だが、実はこの歌の誕生の経緯は全く違っていた、ということを調べてみて知った。
 爆風スランプは1982年に活動開始、最初はステージで暴れまくる危険なバンドだった。火や爆薬まで使い、備品を破壊するので、消防署から警告を受けたこともあったらしい。
 ところが、いつしか大衆化に舵を切ったことで、脱退するメンバーが出てくる。そのメンバーの一人に贈った歌がこれなのだという。
 もっともこの歌が流行った頃、僕はこの歌を知らなかった。結婚してまだ子供が小さかった頃で、テレビやラジオとは無縁の生活を送っていたのだ。
 だがその翌年、僕はよく買い物に行っていたコープさんで、あるBGMを耳にする。何か、リズムが独特で妙に耳につく曲だった。もちろん歌詞はなく、アーティストもよく分からない。
 たまたま視た音楽番組で、僕はその曲のタイトルが分かった。「大きな玉ねぎの下で」というのだ。だが、何で「玉ねぎ」なのか、意味は不明・・・
 若い同僚との会話でその正体が判明。「大きな玉ねぎ」とは、「日本武道館」のことだったのだ。
彼らが初の「武道館ライブ」を実現したのもその頃で、まさに絶頂期だったのだろう。
 その後爆風スランプは、活動休止・再結成と浮き沈みを繰り返しつつも現在も活動中。サンプラザ中野くん、僕と同い年くらいかと思っていたら、5歳も若い!まだまだやれるさ。

 H養護学校のトレーニングでかかっていた曲がもう一つある。1曲目と3曲目が「Rnnner」で、2曲目がその曲だったのだ。

 ♪ 僕らの大きくってすみません号は
    おんぼろ ポンコツ 青いバス
    いつでもモクモク 煙はいて
    僕らを旅に連れてった
    
    (中略)

   いつか 大きな星になれ
   そんな冗談言いながら
   大きな声で笑った

 この曲もなかなかノリのいいリズムで、気に入っていたのだが、曲名がどうしても分からなかった。この曲を見つけようと、僕は爆風スランプのアルバムを何枚も購入したのに、そのどれにも入っていなかった。(涙)
 だが数年前、「歌詞検索」ができることを知り、辛うじて覚えていた「いつか大きな星になれ」で検索したところ、出てきましたよ。
 「The Blue Bus Blues」というのである。
 「決定版! 爆風スランプ大全集2」というアルバムに収められている。もちろん、僕が入手したのは言うまでもない。やれやれ。

 (次はテレサ・テンに行ってみよう)
 
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