| 【MyFavoriteMusicianⅡ】 |
| （94)天上のＣａｒｐｅｎｔｅｒｓ |
| 海外の女性アーティストを取り上げるのはこれが初めてである。 日本の女性アーティストと海外の女性アーティストをざっくり比較すると、一番大きな相違点は、「絶唱」を好むかどうか、という点。とにかく、海外では朗々と歌い上げるタイプの歌手が好まれ、日本のようにかすれそうな声で歌う人はあまり好まれない。 これは「詫び寂び」の概念の有無に加え、ブロードウェイにデビューするためには、徹底的なボイストレーニングで発声を磨かねばならず、どうしてもそういったタイプの歌手が多くなるからではないかと思われる。 一々名前は挙げないが、そう言ったタイプの人達は誰を聴いても似たり寄ったりで個性を感じず、英語の歌詞が聞き取れないこともあって、特定の人にハマることはこれまでなかった。 それは高校２年くらいのときである。ラジオから流れてきた曲がある。 何とも甘いとろけそうな声。こんな優しいメロディがあるのかと思った。 ＤＪは「カーペンターズ」と紹介した。曲は「Ｔｏｐ ｏｆ ｔｈｅ Ｗｏｒｌｄ」。 それを聴いた僕は、きっとビートルズの系統だと思った。そして歌っているのは男性であることも疑わなかった。「モンキーズ」とか、「ビージーズ」も流行っていたし、それらと一括りにして、男性ロックバンドのカテゴリーかと・・・ Carpenterが単に姓に過ぎず、Carpentersが兄妹であることは知るのはシングルのレコードを買ったときである。 「Ｔｏｐ ｏｆ Ｔｈｅ Ｗｏｒｌｄ」は当時の僕の声でギリギリ歌えるか歌えないかくらいのキー。当時はカラオケなんてないから、必至に声を絞り出して口ずさんでいた。 今でもカーペンターズの曲の大半は－２で歌える。これは日本の男性ボーカルの平均値くらい。 女性にしては確かにキーは低いのだが、あの甘い声はやはり女性でないと出せないものだろう。 あまりにも名曲が多すぎる。それを列挙するのはやめにしたい。 カーペンターズの曲でも、日本で人気の曲は日本語のタイトルがついていることが多い。 その中から「Ｆｏｒ Ａｌｌ Ｗｅ Ｋｎｏｗ」、日本題は「二人の誓い」 ♪ Love, look at the two of us Strangers in many ways We've got a lifetime to share So much to say and as we go from day to day ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ For only time will tell us so And love may grow for all we know 優しい、あまりにも優しすぎるメロディと歌詞である。 そして、僕がカラオケで歌う横文字曲のベスト５に入るのが、「Ｉ ｎeed to be in Love」。日本題が「青春の輝き」。その題名とは裏腹にカレン・カーペンターの陰の部分が垣間見える一曲である。 ♪ The hardest thing I've ever done is keep believing There's someone in this crazy world for me ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ I know I need to be in love I know I've wasted too much time I know I ask perfection of a quite inperfect world And fool enough to think that's what I'll find そして1983年、悲しいニュースがもたらされる。カレン・カーペンターが拒食症に苦しんだはてに死去したのだ。 結婚への願望と失敗、容姿へのコンプレックス、いろいろあったようだが、カレンの歌声は今でも日本のみならず全世界で愛されている。兄のリチャードは度々訪日してファンとの交流を深めている。彼女の死去後に生まれた人達でさえ、彼女の曲に魅了されることがしばしばである。 そして、僕もいつかは－2じゃなく、原音で歌ってみたいと、日々研鑽を続けている。 （次回はスティービー・ワンダーの予定） |