| 【MyFavoriteMusicianⅡ】 |
| （８) Motoはシブいところが良い |
| 今でこそ、毎日３～４時間は最低でも視聴しているが、私にはテレビをほとんど視なかった時代というのがある。 それは大学入学と同時に始まった。当時の下宿にテレビなんてあるわけない。（リッチな友人は持っていたが） そして卒業後も一人暮らしを一年足らず続け、実家に戻った。１台しかない実家のテレビのチャンネル選択権はまず父親、そして次に妹にあり、私は自室に籠もってラジオを聴くしかなかった。 結婚してからも、嫁や子供が視ているのを尻目に、自室でラジオ三昧、やがてパソコン時代が来てゲームが友になった。 やっと少しずつ視聴機会が増えていくのは、自室に自分専用の液晶テレビ（最初は７インチなんていうチャチなもんだったけど）を置くようになってからだ。それまで２０年ほど、だからその時分の流行歌なんてのはほとんど知らない。ある意味、暗黒史である。（笑） 佐野元春がＭＣをつとめる番組をFMで聴いていたのは憶えているが、いつ頃か分からなかった。 調べて見ると、ＮＨＫＦＭで「サウンドストリート」の月曜版を1980年から1986年まで担当している。きっとこれに違いない。私が25才から31才まで。結婚（27才）の前後ということになる。 彼は1956年生まれだから一つ下かと思っていたが、３月の早生まれなので、桑田佳祐と同じで私と同学年ということになる。この二人は手紙で連絡を取り合うほど仲がいいようだ。 番組内では、彼自身の楽曲も披露していたようだが、「まあまあいいじゃん。」程度で、特に題名まで記憶に残るような曲はなかった。レコードもＣＤも購入していない。 東京生まれの東京育ち。桑田や山下達郎など、好きな男性アーティストは何故か関東出身者が多いのは単に偶然か。 まさにロックンローラーで、初期の代表曲には「ガラスのジェネレーション」、「ＳＯＭＥＤＡＹ」がある。 ＳＯＭＥＤＡＹ ♪街の唄が聴こえてきて 真夜中に恋を抱きしめたあの頃 踊り続けていた 夜のフラッシュライト浴びながら 時の流れも感じないまま （中略） まごころがつかめるまでSOMEDAY この胸にSOMEDAY ちかうよSOMEDAY 信じる心いつまでもSOMEDAY これらの曲も嫌いではないのだが、私が彼の魅力にハマるのはもっと後になる。 私が本格的に中古CD蒐集にのめり込むのは、神戸特支に転勤してから。年齢的には50代に手が届き始めていた。 ランニングで学校から家へ戻る道々、なじみの中古CDショップで「掘り出し物」を物色する日々。その中で元春のアルバムも数が増えていった。 そんな中、「Time Out!」というアルバムに収録されたこんな曲が私の心を捉えた 君を待っている ♪寄りかかる ところもなく ひとりの夜に おびえているならば 過ぎたことは すべて忘れて いつでもここに 伝えてほしい 昔のままのその声で だれのことも 信じられず ひとりの夜に おびえているならば 過ぎたことは すべて忘れて いつでもここに 伝えてほしい 昔のままのその声で 夏が来て 冬が来て 新しい愛に あてがはずれたなら 思い出して ここにいることを 暖炉に火をくべて 君を待っている いつまでだってかまわないぜ 主人公は昔の恋人を思い出す中年、いや熟年男性だろうか。 自分と同年齢とは思えないこのシブさ・・・ まさに50代以上でなければ理解できないシブさだと思う。 ロックンロール歌手の最高傑作はしばしばバラードであったりする。私もこの曲を敢えてナンバーワンに推したい。 さるバラエティ番組にチラッと登場した場面を視たのだが、まあ、普通のおっさんって感じ。でも、音楽界では常に先駆者であったし、これからもそうあってほしいと思うのは私だけだろうか。 （次号は竹内まりや） |
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