生まれたのは、神戸市（旧）生田区の下山手である。
　５歳までそこで育った。「幼なじみ」と呼べる人たちが数名いるが、そのほぼ半数は「在日華僑」の
子であった。
　もっとも、そのことを親から知らされたのはこの地を離れて押部谷へ引っ越した後のことであり、
「外国人」という意識は微塵もなかった。
　高校時代の同級生に在日北朝鮮籍の男子がいた。その彼がある日こんな言葉をかけてきた。
　「今度の日曜日、南北統一促進の集会があるんやけど、来てくれへん？」
　それまでろくろく会話も交わしたこともなかった彼からの誘いに、ちょっとめんどくささを感じたが、
帰宅部で日々退屈な生活を送っていた私は、何故かＯＫしていた。
　場所もどこだったか、全然覚えていない。
　内容は映画と講演だったと思う。
　その内容もほとんど覚えていないが、金日成の全盛期だから、多分その功績を讃える何かだったのだろ
う。
　講師がこんなことを言っていたのだけを辛うじて覚えている。
　「皆さんが行って生活するなら、絶対北朝鮮ですよ。あっと言う間に家を建ててくれて、そこに住むこ
とができる。」
　現状からは想像もできないが、当時は工業化がより進んでいるのは北朝鮮、南の方は農業国で遅れてい
る、と言われていた。
　また、韓国籍の同級生（女性）もいた。彼女とは後日「同窓会幹事」として一緒に仕事することになる
のだが、彼女は
　「北の人たちは金日成を盲目的に信奉している感じでついていけない。」と語っていた。
　この両国は今も分断されたままである。経済発展度は逆転してしまったが・・・

　だが、「慰安婦問題」というのは全く聞いたこともなかった。この言葉を初めて聞いたのはかなり大人
になってからだ。
　「従軍慰安婦」というのは公認の売春婦、というのが一般的認識である。映画で見ただけだが、一人数
分とかいういかにもせわしない欲望処理を事務的にこなすという・・・
　全国各地で「勧誘」が行われたというのは想像に難くない。だが、彼らは数十万人もの「少女」が「強
制連行」されたと主張する。
　南京虐殺の死者数にしてもそうだが、はっきりした根拠もなく数字ばかりが膨れあがっている。だった
ら、現在の日本人にも相当数の「被害者」がいるはずだが、そんな話はとんと聞いたことがない。
　謎、と片付けてしまえばそれで終わりだが、結局はその数字は「韓国人の日本人に対する憎しみ指数」
と解釈すれば辻褄が合う。
　それだけの被害者がいるのではなく、それくらいの数に相当するくらいの日本人に復讐しないと気が済
まない、とまあそんなことなのだろう。

　実は私の父も２名の祖父も軍隊には入っていないし、戦争にも行っていない。祖父は招集される年齢を
過ぎていたし、父は旧国鉄に勤めていた関係で召集を免れている。お陰でこうしてのうのうと生きている
訳だが・・・
　そんな私が韓国人や中国人に「謝れ。」と言われてどういう気分か。
　「俺は何の関係もないよ。」と言いたくなるのが人情だろう。
　「国家として」と言われたって、70年以上も前に国がやったことを、70年後の子孫達に謝らねばならな
いのだろうか？
　お互いに直接の加害被害の関係は何もなく、法的責任はおろか道義的責任もないはずである。
　世界的に見てもこんな理不尽な要求は他に例がないような気がするのだ。
　祖先の罪の責任が子孫に代々受け継がれるなんていうのは仏教の教えにも儒教の教えにもない。一部の
「人権活動家」のみの専売特許である。

　どうしてこれほど歪んだ「怨恨思想」が生まれてきたかについては若干の考察の必要はあるだろう。
　それはある意味、日本人が彼らに対して抱いていた「差別意識」、およびそこから出てきた「支配行為」
に対する復讐であると・・・

　実は私の親や祖父にあたる世代の人々から、「差別的言辞」はたびたび聞いたことがある。もっとも、
「外国人差別」よりも「部落差別」の方がひどかった気はするけれども・・・
　「明治維新」で欧米化、資本主義化、軍国主義化を日本は推し進めた。それは「皇国史観」に基づく「選
民思想」に依拠していたことは否めない。
　なまじ日清戦争、日露戦争、第一次大戦と連勝したものだから、調子に乗った日本は欧米列強と対等に
張り合おうと台湾や韓国を無理矢理併合し、日中戦争まで引き越こした所で、欧米の「経済封鎖」制裁を受
けた。
　それでも「勘違い」を止めない日本政府と軍部は太平洋戦争の泥沼に落ちこみ、原爆２発をくらって降伏
した。国民数百万人が命を落とした。
　その戦犯を「靖国神社」に祀って反省をしない保守派に対しては私も憤りを感じている。だから、そうい
う「保守派」には年齢を問わず謝罪の責任はあると考える。
　だが、「戦争を知らない子供達」に賠償や謝罪を求めるのはお門違いだ。
　それなら何故もっと早い段階で要求しなかったか。経済援助を受けている間は黙って、経済的に自立した
頃にそれを言い出すのは卑怯だろ。

　内政が行き詰まった頃に「反日意識」を煽って憎しみの矛先を国外に向けるという手法は韓国でも中国で
も常套手段だ。
　だが、中国の場合は「打算」に因っているが、韓国の場合は「感情」に走っているのがその特徴である。

　最近何故中国が反日をあまり言わなくなったか？　それは「反日運動」と「民主化運動」のメンバーが相
当重なっていることが判明したことが理由と言われている。だから、「反日」は当局の弾圧で禁止された。
　だが、韓国人は今「慰安婦像」を全世界に建立して日本人の評判を落とそうと躍起になっている。国連に
多数のスタッフを送り込んで日本を非難する声明などを出させているのもそうだ。７０年以上も前の出来事
で、その関係者もほとんど生存していないにも関わらず・・・
　仮に、である。日本の首相が土下座して謝って、賠償金をいくら積もうとも、彼らはそれで許すか、と言っ
たらどうだろう？
　恐らく、さらなる口実、さらなる事件を持ち出して攻撃の矛先を強めてくることだろう。何故なら、真の目
的は真相究明ではなく「日本叩き」にあるからだ。
　相手にすればするほど調子に乗る、だったらどうすればいいのか？
　この厄介な隣人とどう付き合うか、難しい問題だが、もし何か考えつくようだったら次号で書いてみたい。
　（つづく、かも？）