| 【MyFavoriteMusicianⅡ】 |
| （９) まりやさんは兼業主婦です |
| 竹内まりやが流行り出したのは、確か教員になって２、３年した頃だったと思う。 年齢的には２０代前半、まだ独身時代である。 彼女は1955年の早生まれだから、学年では一つ上だが、ほぼ同世代と言ってよい。ちなみにユーミンも彼女と同い年。 なら、私もすんなり彼女の歌にハマったかと言うと、そうでもなかった。 職場でも私より年下、とりわけ女性の同僚は絶賛していたが、私の第一印象は「カルい」「チャラい」。見かけもそこら辺のイケイケネエちゃんだったし。 なぜか「英語ペラペラ」のイメージがあった。実際、高校生の時にアメリカへ交換留学している。これも「外人とヤリまくっているんじゃないか。」という妄想のネタになった。 ということで、楽曲にもあまり注目しなかった。この頃のヒット曲には「不思議なピーチパイ」などがあるのだが・・・ 実は彼女の実家は島根県の老舗旅館で、意外に古風な面を持ち合わせているというのが後に分かるのだが、この頃の彼女は「湘南ガール」そのものに思えた。 山下達郎と結婚したときも、そんなにサプライズはなかった。達郎もどちらかと言えば「チャラ男」のイメージがあったし・・・ だが、この頃の彼女は「アイドル扱い」に行き詰まりを感じ悩んでいたらしい。バラエティ番組等に出ることは苦痛だったようだ。実際、1981年からは「休業宣言」して、ステージからは身を引いている。 しかし彼女の楽曲製作能力は、いろいろなアーティストに曲を提供する中で評価を受けるようになる。 「けんかをやめて」→河合奈保子 「駅」→中森明菜 「Majiで恋する５秒前」→広末涼子 「元気を出して」→薬師丸ひろ子 これらはほんの一例に過ぎない。 達郎との間に一女をもうけた彼女は「兼業主婦」として「スタジオ活動」を続けていくことになるのだが、子育てが一段落してからはコンサートも再開し、テレビ等メディアへの露出も増えてきた。 そして、２、３年前から思いもかけないブームが巻き起こる。1985年作の「Plastic Love」がネット上で世界的に大ヒットするのである。 この曲はリズム＆ブルース的なノリのいい曲で、私は特に好きでもなかったのだが、YouTubeで聴いてみると、達郎がバックコーラスで入っており、それが何とも神だった。まことにいい旦那を持ったものだ。ちなみにまりやも達郎のバックコーラスをやることがよくあるようだ。 私の一番好きな曲は「マンハッタン・キス」である。 ♪ Don't diturb 閉ざされたドアの中だけが 私になれる場所 ここであなたが見せる優しさに 偽りはないけど どうしてこんなに寂しい 夜明けの足音近づいてくると 何もかも まるでなかったように シャツを着る いとしい背中眺めるの 私より本当はもっと孤独な誰かが あなたの帰り待ってるわ すれ違う心の奥 見透かしながら （中略） できるなら知り合う前の私に戻って 置いてきた夢探したい いつの日か 遠い思い出だと笑い合える そんなときがくるのかしら 明日さえ手探りに生きるふたりにも Till I hear you say you love me Don't diturb 何やら、「不倫」を匂わせる歌詞なのだが、彼女自身は不倫否定派のようだ。 それにしても、この曲に「達郎臭」がプンプン匂うのは私だけだろうか。 「すれ違う心の奥見透かしながら」の歌詞とか、メロディ進行とかも・・・ 実際に達郎の手が入っているのか、それとも単に彼女が心象的に影響を受けているだけなのか、それは分からないが・・・ 特筆しておくべきことがある。 それは若いアイドル時代よりも、還暦を過ぎた今の方がずっと「女子力」が上がっていることだ。 大概の女性はここまで来ると「劣化」するものだが、彼女の魅力は「美魔女」の範疇を超えている。達郎君が羨ましいと同時に、これからもその魅力を振りまいてほしい。 かつて感じた「カルさ」が今や親近感となって心を揺さぶる。 （次号は玉置浩二） |
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