| 【MyFavoriteMusicianⅡ】 |
| （50)宇多田ヒカル～悲運のDNA |
| 何を今頃、こんな大アーティストをあいみょんの後に置くとは、とお叱りを受けそうだ。 たまたま思いついた順番が後だったということ、すなわちそれほど「大ファン」とは言えないのかも知れない。だが、ネームバリューと芸術性の高さから、採り上げないわけにもいかない、とまあ記念すべき50番目ということで宇多田ファンにはお許し願いたい。 彼女を語る上で欠かせないのは、何と言っても母親である藤圭子の存在である。 われわれ世代には説明なんて不要なのだが、四十代の皆様にはあまり馴染みがないかも知れず、簡潔に触れておく。 1951年、北海道の貧しい旅回りの浪曲師夫婦の元に生まれる。小学校から中学校まで、親の巡業に伴って転校を繰り返す。学業優秀だったが、家庭の事情で高校進学は断念。 幼少時より親の影響で歌うことが多く、天才少女として注目される。中学校卒業と同時に上京したがオーディションは軒並み不合格で母とともに流しの仕事を始める。その中でスカウトされ、デビュー曲の「新宿の女」が大ヒット。以降「圭子の夢は夜ひらく」など、ヒット曲を連発し、演歌歌手としての地位を不動のものにする。 前川清と人気者同士の電撃婚をするが、すぐに離婚。その後渡米を経て引退発表。引退の主因は、声帯ポリープの手術で持ち前のハスキーボイスが失われたことだったという。 その後、宇多田照實氏と結婚・離婚を繰り返すが、その間に光が誕生。命名の由来は、彼女が患っていた網膜色素変性症（失明する難病）だったという。 光は圭子とたびたび渡米を繰り返しながら音楽の英才教育を受ける。父も含めたトリオで音楽活動していた時期もあったらしいが、私は聴いたことがなく、是非聴いてみたい。 2013年、新宿のビルから飛び降り自殺。享年62才。最後まで「新宿の女」であり続けた。 そんな彼女のDNAを受け継いだヒカルの、ハスキーボイス、そして歌唱力は天性のものである。今なお数々の作品を生み出す作曲詞力は、英才教育の賜だろう。ちなみに、ニューヨークの学校でも彼女は成績優秀であったという。 初めて宇多田ヒカルを聴いたのは深夜番組で流れたMVである。 「Automatic」あの体をクネクネしながら歌うスタイルは日本の歌手ではあまり見たことがないものだった。リズムアンドブルース、というジャンルがあることも初めて知った。 この早熟のアーティストのその後の活躍についてはここに書き切れないほどなので、いちいち触れないが、ファーストアルバム「First Love」の売上枚数は未だに誰も超えていない。 私生活でも早熟で、19才で写真家の紀里谷和明氏と結婚。（後に離婚）2014年にイタリア人男性と再婚し、一子をもうけたようだ。 今ここに、彼女自身がプロデュースしたベストアルバムがある。 Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL1、そしてVOL2。 しょっちゅう聴いているわけでもないのに、私の耳にこびりついて離れない曲達。 初期のAutomaticやFirst Loveは言うに及ばないが、 time will tel Addicted To You FINAL DISTANCE 光 SAKURAドロップス COLORS Prisonor Of Love HEART STATION Flavor Of Life （大文字、小文字が混在していてまことにややこしいが、すべてオリジナルに従った） どの曲にも必ず「聴かせ処」が存在して、リスナーを飽きさせるということがない。まさに「音楽の魔法」である。 しいて一曲挙げればということで、Prisonor Of Loveを ♪ 平気で嘘をついて 笑って 嫌気がさして 楽ばかりしようとしていた ないものねだりブルース 皆安らぎを求めている 満ち足りているのに奪い合う 愛の影を追っている （中略） ありふれた日常が急に輝きだした 心を奪われたあの日から 孤独でも辛くても平気だと思えた I'm just a prisonor of love Just a prisonor of love Stay with me, stay with me My baby, say you love me Stay with me, stay with me 一人にさせない それにしても、藤圭子と宇多田ヒカルのデュエット、本当に聴いてみたい。ネットで探しても今のところ見つからない。見つけた人は教えてください。 個人的にはミラクルひかるの物真似が気に入っている。公認を意識してか、他の歌手ではおふざけが入るのに、宇多田の曲は真面目に歌っている。 不幸な最期を遂げた藤圭子だが、宇多田の未来はどうなるのか。今後注目していきたい。 |
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