| 【MyFavoriteMusicianⅡ】 |
| （11) 妖精のボイス、薬師丸ひろ子 |
| これまでに取り上げてきた多くのアーティストと違い、彼女は「ソングライター」ではない。また、純然たるシンガーでもない。にも関わらず敢えて取り上げるのは、彼女の歌声が他に類を見ない稀有なものだからだ。 彼女のデビューは1978年、角川映画の「野生の証明」の子役としてであった。高倉健との共演という晴れ舞台を一気につかんだのは、幸運で片付けられるものではなく、天性の才能と言うべきだろう。 ちなみに原作者の森村誠一にその頃ハマっていた。角川文庫の森村シリーズは100冊以上すべて揃えていたのだが、父の死後実家を片付けていたら、いつの間にか全部処分されていた。 その後、数々の角川映画の主演に抜擢され、ヒットを飛ばす。今回のテーマとは異なるので詳しくは触れない。 歌手デビューは1981年、「セーラー服と機関銃」。故デューク君との共作「夜苦島」で、パロディ的に使ってしまったのだが・・・ごめんなさい。 ♪ さよならは別れの言葉じゃなくて 再び会うまでの遠い約束 （後略） このシリーズでも取り上げた来生たかお・えつこの代表作である。 人気女優が歌を出すというのは珍しいことでも何でもない。また、それがヒットすることもしばしばある。 だが、これは彼女のその後の歌手人生のほんの序章に過ぎなかった。歌においても、彼女は決してアイドルではなく、実力派だったのである。 私も最初からハマったわけではない。だが、注目したのは、その声質と歌い方である。透明感、と一言で表現される歌手は他にもいるけれど、彼女の声は際だっている。また、発声法も正統派というか、妙にひねったりこもらせたりしていない。その妖精のような歌声に徐々に私も魅せられていった。 その後も、来生姉弟以外にも大瀧洋一（「探偵物語など）、竹内まりや（「元気を出して」）などに曲をもらって、彼女は次々とヒットを飛ばしていく。知り合いに薬師丸ファンはあまりいないのであるが、敢えて推測させてもらうなら、彼女の曲は性別、年代を問わず愛されるフレーバーを持っているように思われる。 最も好きなナンバーを挙げろと言われると、次の曲だろうか。 Heart'sDelivery ♪ 雪どけの レールの上を すべり出した 横顔 目覚めた 朝のように ぼんやりと 消えてゆく （中略） 一秒のさよならを 記憶のかたすみに いつかまた 会える日は 軽やかに 笑って 抱きあいたい 夢は戻る 作詞・作曲ともそれほど有名な人ではないのだが、アレンジも含めて彼女の歌手人生を飾る珠玉の逸品と言ってもよいのではなかろうか。 1991年、26歳で彼女はあの玉置浩二と結婚する。それから７年余の結婚生活の末離婚。この結婚が彼女にとって幸せであったかどうかは彼女自身に訊かないとわからないが、彼女の性格からして前向きに受け止めているのではなかろうか。 もちろん、彼女は女優としても歌手としてもこれでは終わらなかった。 女優としては2005年、「Always 三丁目の夕日」、これの大ヒットが金字塔。 歌手としてもコンサート活動をたびたび行っている。 ＢＳ３であったか、ライブを先日見たが、その衰えぬ、いやますます魅力を増す美貌と成熟味を増す歌声、これからも応援したい。 そんな彼女ももう56歳、「可愛い」と表現するべきかどうか、微妙だが、テレビのコマーシャルを視るかぎり、65歳の小生からは、やはり愛おしく見えてしまう。皆さんはどうですか？ （次回は・・・誰にしよう？） |
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