浜甲子園団地

ここには数えてみると13年余も住んでいる。これは押部谷に次ぐ年数で、まさに「第３の故郷」と呼ぶにふさわしい。 　ここに移り住んできたのは、妻が最初の子を身ごもっているときだ。妻を病院に置いたまま、引っ越しと後片づけはほとんど一人でやった。そして、ほどなくパパになった。 　66号棟501号室は、最上階ですぐ前が交番。そして斜め向かいがCO-OP、保育所も１分の距離、とこれ以上は望めないくらいのシチュエーション。だから狭いのを我慢して13年も住んでしまったのだ。 　古い団地なので、自治会活動もさかん。近所づきあいもあり、盆踊りや秋祭り、子供たちにとってもここで育ったのは幸せだった。 　ランニングコースは東へ２�s走って武庫川の河川敷へ。あるいは武庫川団地から鳴尾浜へ。夏は近くの厚生年金プールへ。そして阪神パークも目と鼻の距離。甲子園球場の歓声が響いてくる夜。 　そしてここで迎えた阪神大震災。中心地でありながら、ほとんど直接の被害がなかったことに、この地に住んだ幸運をかみしめた。 　この団地で肩寄せ合って暮らした日々を、子供たちはどのくらい胸に刻んでくれているだろう。 　現在は大規模に取り壊され全く新しい町に変貌しつつあるようだ。 　もうあの下町的雰囲気を望むのは無理なのか・・・

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