第一期デジタル本因坊戦第二局（実戦解説)
「負けました。」 　コンピューターから涼やかな声が響いた。 　このソフトの音声は、女流プロ棋士・万波姉妹が担当しているらしい。 　 　どうも、コンピュータの思考アルゴリズムからして、コウには弱いのではないか、という予想をしていた。 　コウ含みの乱戦に持ち込めば、きっと頂子さんは間違える。その作戦が見事図に当たった一局である。
相変わらず敵は三連星を敷いてきた。こちらは低中国流での対抗。 　黒11のハサミに、白12からの定石を選んだ。 　ところが、突然黒23ときた。プロなら絶対打たない俗手だが、このソフトにはプログラミングされていたのか？あるいは思考の結果たどり着いたのかは謎だが、一瞬ありがたいと思った。 　白24のツケからさばいて、結果的に左中央は捨てて打つことになった。もちろん、左上と右中央でその代償は取っている。 　中央での競り合いとなったとき、黒21に対し、白72と打ったのがとんでもない打ち過ぎだった。 93とマゲてあとはサラサラと打っても楽勝の形勢だったのだ。 　黒81と種石を取られる展開となり、形勢は逆転している。黒石をシボってはみたものの、白72以下の４子を直接逃げ出せないのでは辛い。 　それでも、白96以下必死に隅に食らいついていく。 　続いて左下の折衝は白うまくやったようだ。 　そして、黒135と利かしにきたとき、白136の肩つきがわれながら好手だったと思う。これで下辺の白地が盛り上がり、形勢を盛り返した。 　白184のハネに黒185とと押さえてくれたのでここが白の花見コウになった。 　この後、頂子さんは損コウを打ったり、わざわざコウ材を増やすような受け方をしたりと乱れてくれた。 　やはりコウに弱いのは間違いないようだ。 　黒はコウに負けた上に、その代償をほとんど得ていない。 　上辺がまたコウになり、そのコウ争いの過程で、黒10子が落ちてしまった。一応右上と振り替わりの形だが、白右辺は手抜きで生きており、最後まで寄せると20目弱白勝つようだ。 　 　これで１勝1敗、まだまだ勝負はこれからである。 　第３局はこちら
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